基礎知識

FAGAの検査方法とは?血液検査・診断基準を看護師・保健師・助産師が整理

2026-04-21·9分 read

FAGAの診断は問診・視診・血液検査で進みます。血液検査で何を調べるか、他の脱毛症との違いを、日本皮膚科学会ガイドラインを参照しながら整理します。

FAGAとは?(前提知識)

FAGA(Female Androgenetic Alopecia)は、女性に起こるびまん性(全体的)の進行性脱毛症です。日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」では、FAGAは慢性進行性の脱毛症として定義されており、毛包の小型化・軟毛化が特徴とされています。国際的にはFPHL(Female Pattern Hair Loss)とも呼ばれます。

  • 分け目が広がる
  • 全体的にボリュームが減る
  • 生え際は比較的保たれる(男性型AGAとの違い)

FAGAの診断の流れ

一般的な診断は問診・視診・必要に応じた検査の順で進みます。問診ではいつから・どこが薄くなったか、睡眠・ストレス・出産歴・服薬状況などを確認します。視診では分け目の広がり、毛の太さのばらつき、頭皮の状態(炎症・瘢痕の有無)を観察します。FAGAでは毛が細くなる(軟毛化)のが典型的な所見で、頭頂部から分け目にかけてびまん性に目立ちます。類似疾患の除外のために血液検査が行われることも多いです。

  • 問診:いつから・どこが・生活習慣・出産歴・服薬状況
  • 視診:分け目の広がり・毛の太さのばらつき・頭皮の状態
  • 血液検査:他の疾患を除外するための鑑別

血液検査でわかること

FAGAの診断において血液検査が重要な理由は、他の疾患による脱毛を除外すること(除外診断)です。日本皮膚科学会ガイドラインでも、FAGAと診断する前提として除外診断が推奨されています。フェリチン低値(貯蔵鉄の減少)と脱毛の関連は皮膚科領域の複数研究で示されており(Rushton et al. 2002ほか)、甲状腺機能低下症・亢進症はどちらも休止期脱毛を引き起こすことが内分泌学領域の研究で報告されています。検査内容・必要性は受診先の医師の判断によります。

  • 甲状腺ホルモン(TSH・FT4など):甲状腺機能低下症・亢進症の除外
  • フェリチン(貯蔵鉄):鉄欠乏の有無
  • 血清鉄・TIBC:鉄欠乏性貧血の評価
  • 亜鉛:亜鉛欠乏による脱毛の除外
  • 女性ホルモン(LH・FSH・エストロゲンなど):ホルモンバランスの評価

FAGAと他の脱毛症の違い

見た目が似ていても、原因と経過が異なります。自己判断で見分けることは難しいため、医師による鑑別が重要です。

  • 円形脱毛症:円形〜楕円形に突然抜ける(局所的・突発的)
  • 休止期脱毛:出産・ダイエット後などに一時的に増える(多くは数か月で回復)
  • 牽引性脱毛症:きつい結髪・エクステによる物理的負担(生え際など特定部位)
  • 瘢痕性脱毛症:頭皮に瘢痕が残る進行型(毛包が破壊される)
  • FAGA:全体的にゆっくり進行するびまん性・慢性進行が特徴

自己判断が危険な理由

「ストレスだと思って放置」「市販の育毛剤だけで対応し続ける」というケースがよく見られます。しかし休止期脱毛なら自然回復の可能性がある一方、甲状腺疾患・鉄欠乏であれば原疾患の治療が先決で、円形脱毛症であれば免疫関連の治療アプローチが必要になります。原因を特定せずにケアを続けると、適切な治療の開始が遅れる可能性があります。看護・保健・助産の視点では、「原因の特定」を最優先にすることをお伝えしています。

検査はどこで受けられる?

基本は皮膚科です。鑑別診断と薬物治療まで一貫して対応してもらえます。薄毛専門クリニックでは詳細な検査や治療選択肢が豊富な場合があります。プライバシーに配慮した個室対応や女性の相談に慣れたスタッフがいるクリニックを選ぶと、相談のハードルが下がります。

  • 皮膚科:鑑別診断・薬物治療まで対応
  • 薄毛専門クリニック:詳細な検査・治療選択肢が豊富
  • 女性専門外来がある施設:プライバシーに配慮

まとめと参考資料

FAGAの診断は問診・視診・必要に応じた血液検査で進み、血液検査は他の疾患を除外するための鑑別が主な目的です。脱毛症には複数の種類があるため、自己判断は避け、まずは皮膚科や専門クリニックで相談することが大切です。不安な段階での受診で問題ありません。早めに相談するほど治療選択肢の幅が広いとされています(効果には個人差があります)。※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。治療方針は必ず医師の診察を受けたうえでご判断ください。

  • 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」
  • Rushton D.H. et al. "Nutritional factors and hair loss." Clinical and Experimental Dermatology, 2002.
  • 厚生労働省「医療広告ガイドライン」

情報は執筆時点のものです。施術前に必ず専門医にご相談ください。